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2010年2月6日土曜日

無恥との遭遇

前回の「ウチって何屋さん?」をお読みでない方は、そちらから先にお読み下さい。

某月 某日 気温12℃

先日の鈴木くんが遭遇した「小売店で無銭飲食」の話を、この店のベテランパートさんにしたところ、笑いながら言われました。
「そういえば、私もビックリするような経験したわ。」…

それは以前、この店がそのパートさん含め店長と社員計3人だけで運営してたときのことだそうです。
その日の早番は店長とパートさんの二人のみ。
開店してから間もない時間はそれほど店が混まないので、店長がそのうちに昨日の売上金を近くの銀行に預け入れに行っており、しばらくの間パートさん一人で店を見ておりました。

すると毎度のごとく、「いかにもここらへんで寝泊まりしてます」といった雰囲気の男がのろ〜っと入ってきました。
一応パートさん、商品の補充業務をしているフリをしつつ、その男の行動を棚の陰から観察しておりました。
その男は店の中をしばらく徘徊したのち、肌着売場のところでピタッと歩を止め、並べてあるトランクスをジーッと見つめたあと、周りをキョロキョロと伺っていたそうです。
「コイツ、万引き?!」
店内はバートさんとその男の二人だけ。店長は銀行からまだ戻ってません。
何かあったらどうしよう?パートさんの心の中は不安で一杯だったそうです。

すると、ナ、ナ、ナンと!男はその場でゆっくりと、店内で履いていたズボンを下ろしたではありませんか!!
そしてズボンを脱ぐと、並べてあったトランクスを一枚取り上げタグを切ると、いま自分の履いているパンツの上に重ね履きしたのです!!!
パートさん、茫然自失…潜んでいた棚からしばらく動けなかったそうです。

男はトランクスを履き終え、ズボンを再び履き直しました。そして、ベルトをカチャカチャと締め直しているとき、男はおもむろに顔あげたそうです。その視線の先にはパートさんの姿が!
パートさん、思わず目が合いハッとなりつつも、すぐに踵(きびす)をかえしてレジに戻り下を向いたまま、しばらく気をつけの姿勢で突っ伏してたそうです。

「あぁ…店長もまだ戻ってこないし…変なことになったらどうしよう…」
色々なことがパートさんの頭の中を駆け巡っていました。

やがてパンツを2枚履いて身支度を済ませた男は、ゆっくりとレジまでやってきました。
パートさんは顔を上げられず、ただじっとしていました。
そしてついに、その男が澱んだ声でパートさんに話かけました。
「いくら?」
「へっ?」
「いくら?」

アンタ履くの見てたでしょ?と言った感じの語気でその「お客さん」は値段を聞いてきました。
「に、298円です…」
お客さんはズボンのポケットから小銭を取り出し、1円玉と5円玉と10円玉でちょうど298円の会計を済まし、ゆっくりとパンツを2枚履いたまま店を出ていきました…。

そのお客さんと入れ違うように店長が戻ってきた途端、パートさん安堵感と同時に、先ほどの出来事を思い返すと、思わず大声で笑ってしまったそうです。

その話を聞いたワタシは、そのパートさんに大変敬服してしまいました。
フツウの女性が職場でこんな出来事に遭遇したら、二度と来なくなってしまうのではないでしょうか?
そのことも伺ってみると、
「それは最初ビックリしたけど…でもこの街に住んでたら、結構受け入れられちゃうものよ♪

「山谷」という街は、人間をも強くしてくれる街なのです。

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